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イタリアのベネチアングラス(ムラノガラス)の技法

 2017/04/20 ベネチアングラス
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ベネチアングラス(ムラノガラス)の技法

1.Bullicante技法

質の高さと伝統に裏付けられたムラーノガラスはいつの時代も称賛の的です。

この名声はガラス職人の努力と献身の賜物であり、

ムラーノ島が誇る芸術の神髄ともいえます。

ガラス工芸は時代を超えて次の世代へと伝承され、

絶えず新たな趣向に挑戦し、永遠に色あせることはありません

島のあらゆるマエストロは尽きることのない情熱を作品に注ぎ込み、

どの工房から生み出される作品にも彼らの熱い思いが、

より磨かれた技、驚くような装飾に形を変えて伝えられます。

 

常に時代を先取りし、斬新なアイディアを吹き込む

アルキメデ・セグーゾは島を代表する天才の一人です。

自身を取り巻く環境を体現し、新しい技法を完成させる術を

身につけていたセグーゾは、皆の度肝を抜くような見事で革新的な技法

Bullicante(ブッリカンテ)技法を生み出しました。

ムラーノガラス職人マーク クジャク

有名なブッリカンテ技法は特にムラーノ島近辺でよく目にします。

 

ベネチアを散策中、中に小さな気泡のが入った美しいガラス製品を目にし、

一体どうやって気泡を中に入れたのだろう、思いを巡らすことでしょう。

 

この変わった効果を得るために、パイナップルのような表面をした、

とげ上の突起がついた金属製の型を、溶かしたガラスの中に閉じ込めます。

 

するとこの突起部分がグラス周囲の表面に小さな穴をあけ模様を作ります。

しばらく冷ますと、穴の開いた1層目は柔らかいグラスの内部に沈んでいき、

2層目が1層目を完全にふさぎます。

ですが、ガラスの粘性のおかげで、1層目の穴の模様はふさがれず

2つの層の間に空気が閉じ込めらることになります。

 

この工程を何回か繰り返すことで、職人の思いのままに

複雑な模様を作り出していきます。

この技法は作品全体に深みを与えるととともに

他に類を見ない装飾効果として有名です。

ムラーノガラス ブリカンテ技法花瓶

ブッリカンテ技法は、1930年代アルキメデ・セグーゾによって広まりました。

 

ソッメルソ技法とともに、セグーゾはガラスの厚みを利用して、

その技法を向上させました。

 

より粘性の高いガラスを使い、上にガラスの層を重ねても

中に入れた気泡が動かず、形を保ったままにする方法を見つけたのです。

 

ランプなどの照明作品に取り組んでいる最中、

ランプに使用する突起状の道具が、

へこみを付けるのにも役立つのではと思ったのです。

 

彼は、ガラスにつける模様の位置や深さを決めるのは、

金属製突起の大きさや形だと気づきました。

そして、気泡をそれぞれの層に閉じ込める作業を6層まで試しました。

この技法を習得してから、中に金の葉っぱや他の色を

閉じ込めることにも成功し、

非常に価値のある今までにない作品を完成させたのです。

 

ブッリカンテ技法の作品は1936年、

セグーゾの作品がベネチアビエンナーレに

出展されて以降、急速にその名が知られるようになりました。

「ゴールデングレイ」という名の花瓶、

「パモナ」というガラス彫刻は幅広く称賛を浴びています。

 

ビエンナーレに出品された品は現存し、ベネチアのCassa di Risparmio 宮に

所蔵されています。

 

見事な丸形の花瓶は、ほのかな紫色で、

はっと目を引くブッリカンテ技法が用いられ、

中には金の葉っぱが見られます。

 

まさに1936年から届いた宝物です。

それ以降セグーゾはブッリカンテ技法を用いて

花瓶、動物人形、彫像、ランプを作成してきました。

モダンな模様や造形を古風なシャンデリアにも応用しました。

 

大変人気な作品に水をテーマにしたものがあり、

流動体と細かな線で、繊細な魚をデザインしました。

この作品を眺めていると誰しも海に戻ったような錯覚に陥ります。

 

他のガラス技法同様、ブッリカンテ 技法は、手仕事の美しさや

職人の業を愛でる人々に好まれることでしょう。

豪華なブッリカンテ作品を生み出すのに必要な知識や技はすべて、

ムラーノに脈々と受け継がれるガラス工芸遺産、

モノづくりの質と独創性、中世以前からベネチアに受け継がれてきた

長い歴史があってこそです。

 

2.Filigrana, Reticello,  Zanfirico などの技法

 

ベネチアにおいてガラス工芸は、街の経済の中でも

特に重要で影響力があります。

最高のガラス工房はムラーノ島にあることも周知の事実です。

島の路地を散策すると、ガラス工芸にどれだけ多くの

精巧で複雑な技術が使われているか、あげたらきりがありません。

 

工房に立ち寄り、職人たちが話をしているのを聞いたら、

Filigranaフィリグラーナ、Retortoliレトルトーリ、

Reticelloレティチェッロ、Prirareスピラーレ・・・

などわけのわからない言葉が飛び交い

どの技法のことを指すのか、全く見当もつきません。

 

すべての技法、道具、形、ガラスの種類に、はっきりと名前がついていて、

およそ1000年も昔から職人の間で使用されています。

 

最も古いガラス工芸は、記録に残る限り、982年に遡ります。

この記録のおかげで、1982年にベネチアガラス工芸は

1000周年を迎えました。

 

ムラーノ島のリオ・デイ・べトレ川に沿って、

街で最古の炉が設置されたことも分かっています。

工芸の機密保持と、職人が逃亡するのを防ぐため、

ベネチア共和国はガラス工芸に携わる有能で腕の立つ職人を

認定し、特権を与えました。

 

一方で当時の偉大な発見や技術開発、例えば

「フィリグラーナ・ア・レトルトーリ」や

「フィリグラーナ・レティチェッロ」といった

16世紀に名を知られた技法を守り続けました。

ムラーノガラス皿 青と赤のフィリグラーナムラーノガラス フィリグラーナ技法 キャンディボール

「フィリグラーナ」とはゴブレットや皿などのガラス食器にみられる

繊細な金線を意味します。

 

ガラスに金線を見たらその完璧で繊細な素材の調和や透明感は

どうやって作られたものなのか、想像をめぐらさずにはいられません。

フィリグリー技法を理解するには、まずどうやって

細いガラス棒を作るのか知る必要があります。

 

初めに溶かしたガラスを分離して壊れないように2つの棒状に分けます。

それから、職人2人でこれらの棒状の塊を、中心でバランスを取りながら

細長い紐状に成型していきます。

 

十分細長くなったら、床に置いた木製の板の上で冷まします。

細いガラス棒が、裁断できる固さになるまで待ちます。

十分冷えたら、様々な長さにカットされ、ランプ作りなどの

「ムッリーネ」や「フィリグラーナ」といった技法に使用されます。

 

フィリグラーナについていえば、

細いガラス棒ははじめは不透明な白色ですが、

芯が溶けると、色づきます。

好みの長さに裁断し、金属板の上に並べて熱を加えると

側面同士がくっつきます。

 

この後、色のついたガラスのコア(芯~たいてい円柱状)を

ガラス棒の上にかぶせて、不透明な棒の周りを囲むよう

付け合わせます。

 

並べられたガラス棒(ロッド)窯に入れて溶かし、

その後、職人が成型します。

一連の工程で、ガラスはひとまとまりになりますが、

芯の部分の乳白色は残って見えです。

職人によって、伸ばしたり、ひねったりを繰り返して

さらに細く細くしていきます。

 

その結果、とても繊細な線や波模様が一面に広がり

優麗な視覚マジックのようです。

フィリグリーやフィリグラーナは15世紀から取り入れられている手法で

偉大なグラス職人アルキメデ・セグーゾが、1950年代に

この技法をさらに研究し、作品に取り入れたことは有名です。

 

これにより、「フィリグラーナ・ステッラータ」や「メルレット」、

「スピラリーネ」といった傑作が生まれたのです。

 

フィリグリー技法には応用技法があり、

有名なものの一つに「リティチェッロ」があります。

これはイタリア語で小さな網を意味し、

見るとまさにこの名前がふさわしいことがわかります。

この技法には大変な忍耐と修練が必要です。

 

伝統的なフィリグリー技法と同様の過程で作られますが、

ガラスの中に別の2つの細いガラス棒を織り込んでいます。

1本を時計回りに、もう1本を反時計回りに巻き付け、網目状にします。

この過程で小さな気泡が生じ、ジグザグ上にガラス内部にとどまる様子は

見事としか言いようがありません。

 

1920年代幾何学的な模様がもてはやされ、ジャコモ・カッペッリが

やや大ぶりの作品に挑戦しました。

ムラーノガラス フィリグラーナ技法 手つき花瓶 

もう一つのフィリグリー技法は「ザンフィリコ」または「レトルトーリ」

と呼ばれるものです。

ザンフィリコの名前の由来は、19世紀にこの技法を思いついた

ベネチアのディーラー、アントニオ・サンキリコです。

レトルトーリはガラスの中で「螺旋」または「ねじれた」状態を

表しています。

 

この技法は最初の工程が違い、スティック状のガラスを製造する際

2本のロッド(ガラス棒)の間でガラスを細長くする代わりに、

それぞれのロッドを互いに反対の方向にねじることで螺旋状にします。

螺旋に組まれたガラススティックは冷やされ、

そのあとの工程は一般的なフィリグリーと同じです。

 

フルヴィオ・ビアンキーニの優美な花瓶は1900年半ばに製作され

ディーノ・マルテンスがデザインした「トーゾ」社の品は

伝統的で見事なフィリグリーとレトルトーリが再現されています。

 

今では使命感にあふれるガラス職人が、さらに技法を磨き上げ

一層手の込んだなフィリグリーに挑戦しています。

彼らの生み出す作品はさらに素晴らしく、魅力的な仕上がりですが

一方、昔ながらのフィリグリーが好みの方もいます。

こうした技法は、偉大なガラス職人が年月をかけて築き上げてきたものであり

1000年を超えてなお、ベネチアがガラス工芸を牽引していることは

何の不思議でもありません。

 

 

3. Sommerso技法

ガラスは世界で最も手の込んだ魅力的な工芸です。

古くよりその複雑な形や美しく透き通った色で

人々を魅了してきました。

 

こうした作品を世に送り出すまで、ガラス職人は鍛錬に日を重ね、

様々な技法を編み出し、何世代にもわたってその伝統を伝えてきたのです。

ムラーノガラスと聞いて、砂を思い浮かべる人は少ないでしょう。

 

ですが、砂はすべてのガラスのもとになっています。

ガラスは、珪砂、炭酸水、石灰、カリウムを混ぜ合わせ

1482度の炉の中で溶かします。

 

柔らかくなったところで、パイプを用いて炉から出し

職人がガラスを吹いて成型したり、型に入れます。

 

形や色はそれぞれ、使用する道具や薬剤によって変わってきます。

技法も重要です。というのもミネラル分がどのように反応するかで、

どのように発色するかが決まるからです。

 

芸術的な技法を用いた最初のガラス品はローマ時代に遡ります。

当時は原料に、貝殻や灰、砂が用いられていました。

現在では、地中海沿岸のガラス職人はその技法に改良を重ね、

繊細な職人技と完璧なまでのイタリア様式を融合させています。

ムラーノガラス 魚 ソッメルソ技法

最も一般的な技法は、イタリア語で水中に沈めるという意味を持つ

「ソッメルソ」でしょう。

この技法は1つ作品の中に(たいてい引き立てあう異なる色の)

ガラスが何層にも重なっていて、お互いが交わることなく

まるで浮かんでいるかのような錯覚を作り出します。

 

この技法は熱を加えてガラスの層をつなげ、その中に繰り返し

色付きガラスを沈めていきます。

ソッメルソ技法の製品はすぐにわかります。

外側は無色のガラスが取り囲み、中に厚みのある色ガラスが

層をなしている様子は、

色づいた大ぶりな滴が透明のガラスに閉じ込められているかのようです。

こうした作品を初めて目にすると、どのような方法で

美しい色々をガラスの中にこれほど見事に閉じ込めたか、

想像もつかないでしょう。

 

そして、どうやってこうした形や色が複雑に織りなす妙技を

生み出そうとしたのか、思いをめぐらすことでしょう。

 

アントニオ・ダ・ロスは卓越したベネチアガラス職人で、

1930年代にムラーノでソッメルソ技法を生み出しました。

一つのガラスの中に引き立つ色が沈んで見える技法はすぐに話題をさらい、

ベネチア・ビエンナーレや世界中の美術館で披露されました。

パオロ・ヴェニーニも有名なガラス職人で、

同時期にソッメルソ技法を大成しましたが

世界に広めたのは1950年代のセグーソ・ダルテです。

 

フラヴィオ・ポーリ(1937年から1963年までセグーゾ社の芸術監督)

のおかげで、セグーゾ社はこの技法を様々に応用して、

金の葉、鉱物、気泡などを加えることによって、

玉虫色に輝く色を出すことに成功しました。

彼の作品の多くは酸やミネラルで腐食したかのようですが、

ガラスの透明感とふんわり重なり合う様子は

やはりソッメルソ技法をいえます。

 

ブッリカンテガラスは、まったく異なる技法のように思われていますが、

ソッメルソ技法から派生したものとも言えます。

オブジェの中のガラスの泡が重なる様子は、

作品の中に小さな気泡が閉じ込められているような錯覚を覚えます。

 

アントニオ・ダ・ロスは、現役を退くことなく、

1950年代後半にはアルス・チェネデーゼの下に戻り

ソッメルソ技法にさらに磨きをかけました。

 

ダ・ロスはチェネデーゼをベネチアビエンナーレに連れてゆき

1960年ガラス部門で賞を得た、彩り豊かなガラスが沈み込んだ

ガラスシリーズ「コントラップンティ」を披露しました。

また1954年から1962年までチェネデーゼ社に在籍した

フルヴィオ・ビアンコーニは、1954年にベネチアビエンナーレに出品しました。

 

チェネデーゼ社は他にも、新しいソッメルソ技法を編み出した

ルイジ・スカルパ・クローチェを迎え、このベネチア出身のペインターは

ガラスの層を通じて、色と戯れるかのような作品を作り出しました。

 

こうした職人たちは、より深み、強さ、凹凸を出そうと尽力し

ソッメルソ技法の発展に大いに貢献しました。

ガラス自身がすでに十分魅力的なものだとしても、

こうした偉人たちの技法にかかれば、さらに魅力が引き立ちます。

ガラス職人たちの尽きることのない研究や挑戦のおかげで、

ガラスが単なる装飾にとどまらず、実用性と芸術性を兼ね備えた

創造力の賜物とされるのです。

ムラーノガラス 魚 ソッメルソ技法ムラーノガラス 花瓶 ソッメルソ技法

最後に、以上3つの技法、ブリカンテ、フィリグリー、ソッメルソがお好みで、

実物を見たければ、ムラーノガラス美術館やコーニングガラス美術館で

鑑賞することができますし、毎日家で眺めていたいのでしたら、

ベネチアングラス(ムラノガラス)専門店 からもお求めできます。

 

 

 

 

 


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妹尾 満隆

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合同会社SENOO商事の代表をしております妹尾満隆と申します。

ウェブという情報を発信してる人が見えてない中で、いろんな間違った情報がネット上にあるのを度々見かけます。

特にアンティークにおいては

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などたくさんの課題がありました。

そこで私は、これまでのお客様との取引の実績、知識、経験、情報を元に正しい情報をウェブを通して発信していくことを会社の方針と掲げました。

ただ物を売る会社ではなく、これまでブラックボックスとされてきてた商品の真贋の見分け方を発信するというのが大切なことではないかと思ったからです。

なぜならアンティーク品の場合は情報量の不足から、買い手側が圧倒的に不利な立場にあったからです。

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