世界中に広がるルネラリック(Rene Lalique)の作品 海外の美術館と展示館のご紹介
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世界中に広がるルネラリック(Rene Lalique)の作品 海外の美術館と展示館のご紹介
ルネラリックは、世界中の人から愛されている芸術家でもあり、実業家ですよね。
その作品は、彼の祖国フランスを飛び出し、世界各国の美術館や展覧会で展示さ
れ、今日も人々の心をゆさぶり続けているのです♪♪ 今日は、そんなルネラリック
の作品と美術館に関するお話です。
試作品から完成品まで
ルネ・ラリックが生まれる約10年前、アモリ―・ホートンは小さなガラス会社の立ち上げました。
彼の息子たちも、この会社を支えたのですが、その経営は不安定(;´・ω・)。
1868年、銀行員に薦められ、Corningというニューヨークの小さな町移り、
”Corning Flint Glass Works”
という名前の新たなガラス会社を立ち上げました。あのCorning社です♪♪
が、しかし1870年には倒産( ;∀;)。 ホートンは他界してしまいました(ノД`)・゜・。。
ところが、ホートンの息子たちは、鉄道信号用のガラスを納品する事業に成功!!
会社は復活し、エジソンの電球のためのガラス、アイフォンの画面用のガラス板、
ハップル宇宙望遠鏡用のガラス、世界で初めてのガラスファイバーなど、
時代を支えるマテリアルを作り続けてきたのです。
そんな、Corningが1951年に、ガラス細工を集めたおおきな美術館を設立しました。
それが、Corningガラス美術館です。
このガラス美術館は、利益を目的として運営されているのではなく、ガラス芸術の歴
史を後世に伝えることを目的に運営されています。その所蔵品は、50000品目にも
および、約35世紀間にわたるガラス芸術の歴史を記録しているのです!!!!
Corningガラス美術館ですが、それほどの所蔵量を誇るのに、当初、ルネラリック
の作品はたったの200点程度でした。 ⤵⤵ しかし、その後寄付などを通じて、ルネラ
ラリックの珍しい習作などを含む600点が展示されるようになりました。
なので、このCorningガラス美術館では、ルネラリックの試作品からその成果物ま
で展示で楽しむことができます。ただ花瓶を眺めるのではありません。
その中に、ルネラリックがデザインを決めて、美しいガラス製品の量産法を確立する道のりを、楽しむこと
ができるのです(ノ゚ο゚)ノ 人生で一度は行って見たいものです!!!
ネルソンーアトキンス美術館でのルネラリック宝飾品展覧会
もう一つ高名な、ルネラリックの展覧会についてご紹介いたします。
ネルソンアトキンス美術館は、教師だったネルソンン夫婦と新聞社を設立した実業家アトキンスが
遺贈した資金をもとに設立されました♪♪
この美術館は、1933年12月、あの世界恐慌の最中に開館しました。
この大恐慌のあおりを受けて値段が下がった美術品を収集して、世界レベルの美術館へと成長したのです。
この美術館は、アトキンス氏の豪邸をもとにつくられています。
↓1900年代初頭にこの豪邸・・・・。うらやましいですね!!!
特にパリ万博で陳列されていたルネラリック、ティファニー、ファベルジュのコレクションを購入し、
自らの展示品として陳列するようになりました。
災い転じて福となすですね♪ どんなときもあきらめない姿勢が大切なのでしょう。
ロシア クレムリン宮殿での展覧会
ルネラリックは、ロシアでも人気です♪♪
約900年前、クレムリン宮殿の第一城壁は建造され、約1000年間、今もその威容を誇っています。
その間、ナポレオンによる攻撃を受けたり、様々な政府や王朝がこの王宮に君臨し続けてきたのです。
最も私たちの興味を引くのは、1500年代初頭にイワン大帝によって建築された「イヴァン大帝の鐘楼」でしょう。
高さ26フィート、内部には20以上の鐘が備えられています。
この鐘楼が建てられたのち、教会が建設され、その一階部分が、美術館へとリフォームされたのです。
こんな美しい建物の中にルネラリックが収められているなんて、感動的ですね!!!
ロシアの冷たい空気とルネラリックの透明感は相性抜群でしょう 💛
ルネラリックの特徴 「精巧さ」
2010年にアメリカ、シンシナティ美術館で行われたルネラリック展は、約100品もの収集品を展示していました♪♪。
ルネラリックのみではなく、ルイスアウコックら、初期に彼の工房に勤めていた職人たちの宝飾品も展示されていました。
この展覧会の一つのみどころは、ルネラリックの装飾品の特異性を明示したことでした!!
ルネラリックは、ただ宝石を美しく見せるためだけではなく、デザインそのもののオリジナリティを追及していったのです。
櫛ですね。上部には、スズランがあしらってあります。
ほかの作品では、下のようにスズランの花びらまで作りこんだものを製作しています。
スズランの花が精巧に作られているようすがわかります(ノ゚ο゚)ノ 。
これは、ハチをモチーフにしたブローチです。
羽にちりばめられた色とりどりの宝石、本体部分には、大きな青い宝石がはめ込まれています。
花弁や枝葉の広がり具合が、本体の神々しさを強調しています
こちらは、ネックレスです。花弁の曲がり具合が、リアルですね(*゚0゚)。
ラリックの宝飾品の精緻さは、幻想的な雰囲気を生み出しています。
ラリックと同じ時代の芸術家や職人たちは、繊細な作品をつくることをしませんでしたが、
ラリックの作品は精緻の極みで、右に出るものはいないでしょう。
意外な使い道 デ・ラ・フォンテェーヌを応用した「円形の皿」
ルネラリックは、パリ万博のアール・デコ博覧会でガラスの噴水”デ・ラ・フォンテェーヌ”を展示しました。
中央に大きな彫像があり、周囲の円形の池に水が注がれるという形です。
これは、中世の噴水のスタイルをまねたものです。
同時に、ルネラリックはこの噴水のミニチュアを作製し、販売しました。
ルネラリックは噴水の形が他のものにも応用できることを確信していたのです。
それが、下の作品となります。
真ん中に立つ聖女の顔のおだやかさに癒されます。
販売するにあたって、業者はこの作品を、「円形の皿」と紹介しているようですね。
・・・・・実は、これ「灰皿」なんです((((((ノ゚⊿゚)ノ。
私には、使えません(´A`。)。
世界を旅する “キスとハグ”
ルネラリックの作品は、世界に広がり、多くの人々に感動を与えています。
その結果、よくあるのが、「自分がみた作品をもう一度見たいが、
そもそもどこのものかわからない(´口`)」という、問い合わせです。
この高名なブローチ” Le Baiser,接吻”も世界中を回っている作品の一つです。
1960年にルネラリックの息子から、Musee des Arts Decoratifsに寄贈されました。
1998年フランスをでて、1999-2001年にかけて、アメリカ、東京など世界を回り、
約数年にわたって、フランスに戻ることはありませんでした。
この作品を一目見ようときた人たちから、今この作品がどこで見れるのか?という
問い合わせが絶えなかったのだそうです。
ルネラリックと蛇
ルネラリックは、彼の創作意欲が頂点であった若いころ、宝飾品の製作にうちこんでいました。
彼の一連の作品の中に、蛇をモチーフとした独特の宝飾品があります。
この蛇をモチーフにした作品、例えば、“九匹の蛇の胸飾り”は、リスボンのグルベンキアン美術館の所蔵です。
この斬新な作品の特徴は何より大きさです。
胸飾りという表現に違和感を覚えたかたもいらっしゃると思います。
そう、ブローチではありません。
大きさが、21cmにもおよぶからです。
蛇の挑みかかるような様子が、圧倒的ですね。
もう一つの蛇をモチーフにした作品は、ロシアのサンクトペテルブルグにある、
州立ハーミテージ美術館に収められています。
この冬の王宮に収められているペンダントは、先に示した作品の半分の大きさです。
ですが、この2作品の構図が似通っていることがおわかりですか?
じつは、ルネラリックは、一度使用した構図を微妙に変更し、スケールを変えてあらたな作品を作成するという習慣がありました。
のちに、ラリックが行った大量生産でも似たようなことが行われています。
興味深いですよね。
宝飾品以外でも、蛇をモチーフにした作品があります。
下の作品何かわかりますか?
なんと、砂糖壺なんです・・・。
ルネラリックの作品では、群を抜いた、最もクールで印象的な作品だと思います♪♪。
ルネラリックの作品は、どことなく暖かさを感じるものが多いのですが、この作品は際立っています!!!
本体部分は、蛇がとぐろを巻くすきまをブラウンガラスが埋めて出来上がっています。
こんな砂糖壺使ってみたいですよね。
日本にもあるルネラリック作品
じつは、日本でが所蔵しているルネラリックの有名な作品があるのです♪
それは、旧朝香宮邸東京都庭園美術館に所蔵されているガラスレリーフ扉です。
入ってすぐに目に入るこの作品、遠い旅を経て日本にやってきたのです。
朝香宮は、妻とパリ万国博覧会を訪れました。そこで、ルネラリックと出会ったのです。
すっかり、アールデコに魅せられた夫妻は、自邸を建てるにあたり、フランス式のデザイン
を多用しました。そのうちの一つが、型押ガラス製法で作られたこの翼を広げる女性像です。
ルネラリックの作品の中でも大型のものとなり、世界にたった一つしかない作品なのです!!!
東京で展示されたルネラリック
東京で行われた展示のタイトルは”華やぎのジュエリーから煌めきのガラスへ”
この展示会は、国内外から400展以上のルネラリック作品を集めて展示していました。
なんと、ルネラリック生誕150年記念の展示会を東京で行っていたのです!!
フィーチャーされることが珍しい作品を紹介しましょう。
ルネラリックが、一時期熱中していたのが、シール・ペルデュ(蝋型鋳造)です。
その時期の傑作が、この”四組のセキセイインコ”。
鋳型は作品を取り出すときに壊してしまうので、世界に一つしかない作品となるのです!!!
こんな貴重な作品が、日本に来ていたことがありました。
ガラス製とも思えない精巧さでした!!!
ほかにも、けしの花をモチーフにしたハットピンが展示されていました。
この花弁の精密さが印象的ですよね。