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類稀なる多才さを披露したジョサイア・ウェッジウッド

 2015/09/29 ウェッジウッド
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〇類稀なる多才さを披露したジョサイア・ウェッジウッド

 

類稀なる

ウェッジウッドの創始者であるジョサイア・ウェッジウッドは、

西洋磁器の世界においてその名を知らぬ者はいないほどに有名です。

彼が作り上げた作品は歴史的にも珍しく、また美術的な価値も高く評価されていて、

ウェッジウッド社は現代においても人気を集めています。

陶磁器作りの面ばかりが目立っていますが、ジョサイアの才能はその1点のみではなかったのです。

彼はウェッジウッドという名前を世に知らしめるべく、

時代の先を行く新しいシステム、発明を次々と生み出しました。

今回は、ジョサイアが陶磁器の製作以外でも才能を開花させていたエピソードをご紹介していきます。

〇ショールームという新しい宣伝方法

今でこそ店舗で商品を展示するのは当たり前ですが、まだ商取引の基盤が出来上がっていない18世紀において、

彼は完成した作品を店舗に展示するというショールームのシステムを生み出します。

エカテリーナ大帝から依頼された『フロッグ・サービス』は、大帝に納品する前に

ロンドンのグリーク・ストリートのショールームに展示して公開しました。

 

シリーズ作品全てに丁寧な風景画を描いている『フロッグ・サービス』の質の高さと、

エカテリーナ大帝から注文を受けているという話題性から相乗効果が生まれ、多大なる宣伝効果を発揮しました。

1774年に開設されたこのショールーム『ポートランドハウス』は、

現在はツタの緑色とレンガの褐色が絶妙にマッチした5階建ての建物になっています。

ショールームとしての形は無く、内部も映画関係の事務所つまりオフィスビルへと変化しています。

しかし三角屋根の下にあるクレーンは当時の姿そのままです。

 

店舗ショールームに陳列する商品の上げ下げにこのクレーンは使われていたのです。

店舗ショールームは当時複数あったのですが、現在はほとんど残っていません。

ウェッジウッドの人気と知名度が世界的に知れ渡り、

多くの顧客をゲットするという当初の目的を果たしたのが理由の1つと考えられます。

また時代に即した販売方法に合わせるべく、ショールームを取り壊したとも考えられます。

いずれにせよジョサイア亡き後も、ウェッジウッド社が事業として拡大していく上で決断した結果なのです。

〇ウェッジウッドの強みが生きたカタログ

インターネットの普及により、外国の商品をチェックすることも容易になった今の時代ですが、

そのシステムに近い環境を生み出したのがジョサイアです。

彼はショールームに、見るだけでも楽しめるような美しいカタログを設置しました。

このカタログは今でこそ当たり前の商品リストですが、

当時としては画期的で、そのメリットは数多く存在しました。

 

まず商品が店になくても注文を取れる点で、これにより注文を受けてから商品を作ることができ、

売れ残りや在庫を気にする必要が無くなったのです。

商品を大量に保管するのにも費用がかかることを考えると、

カタログを作ることによって抑えられる費用はかなり多いです。

次に遠方の外国で商品を売り出すことが可能になった点です。

 

陶器をそのまま外国に持って行ってセールス販売するのは、

あまり現実的ではないのは想像に難くないと思います。

しかしカタログであればコストもかからないですし、

中身の言語も書きかえるだけでそのまま使えるのもメリットとなりました。

カタログの中には

ティーセット、ディナーセット、マグカップ、食器全般、ティーカップ、

グラス、ポット、お皿

等が掲載されていたそうです。

実際にフランス語版、ドイツ語版、オランダ語版を作っています。

 

これだけでもカタログがどれだけのメリットを生み出したかわかったかと思いますが、

ウェッジウッドが既に作り上げていた信頼と合わせることでさらに大きなメリットを生み出しました。

この時ウェッジウッド社は『クイーンズウェア』の件もあって、

シャーロット王妃を会社の後援者に迎えたことで、正式に『イギリス王室御用達』となっていました。

 

その信頼度もあって、既に取引のあった貴族の方たちに、親戚や友人への推薦状を書いてもらうことが可能となっていました。

この推薦状とカタログによって、瞬く間にヨーロッパ中の貴族たちを顧客として加えることに成功します。

多くの顧客を確保することに成功したカタログの力は、ウェッジウッドだからこそ最大限発揮されたとも考えられます。

〇製作に必要な道具も作ってしまう科学者

ジョサイア、並びにウェッジウッドの代表的な作品の1つとして挙げられる『ジャスパー』。

彼は4年の研究の末に完成させますが、完成に至るまでには数多くの試行錯誤がありました。

『ジャスパー』は現在でもガス窯(他は電気窯、コンピューターで温度調節をしています)で、

摂氏1200度前後で30時間焼成します。

ジョサイアが『ジャスパー』の製作をしていた時は、

ボトルキルンだったために温度を一定に保つのが非常に難しかったのです。

 

そこでジョサイアは窯の内部温度を測ることができる道具を作り出します。

それがパイロメーター、高温度計だったのです。

このパイロメーター1つを取っても歴史的な発明で、後に王立協会会員にも選ばれる理由の1つになりました。

彼には科学者としての才能もあったのです。

〇右足の不幸を糧にして

ウェッジウッド社を大きくしていくその手腕は確かなもので、

企業において1番大事な人材にも常に気を配っていました。

今でこそ珍しくないシステムですが、彼は従業員から分担金を集めて、

病気の時の欠勤手当や退職金に充てるシステムを導入しました。

18世紀後半になるとウェッジウッド社も大きくなっていて、

従業員は300人ほどの規模になっていました。

 

さらにストーク・オン・トレント自体も全体的に活気づいていたために、

陶土からでる埃や焼成時の煙の影響で空気がかなり悪くなっていて、

長期的に病気で休む人が多くなっていたのです。

その状態に対応すべく彼はこのシステムをいち早く導入したのです。

 

ジョサイア自身、まだ若い時に天然痘にかかってしまい、後に右足を切断することになりました。

自身の経験から従業員のことを第一に考えるジョサイアは、正に経営者の鑑と言うに他なりません。

〇一言で言い表せないジョサイアの才能の数々

陶工、開発者、実業家、科学者、経営者とジョサイアはいくつもの姿を持っていて、

その全てにおいて比類なき才能を発揮しています。

彼がウェッジウッドで上げた功績は、歴史的な観点で見てもかなり重要な物が多いです。

 

特に『ジャスパー』で作った『奴隷解放のメダリオン』は、

虐げられてきた人たちに勇気を、社会に大きな影響を与えました。

ジョサイア・ウェッジウッドという男は、ウェッジウッド社においてだけではなく、

世界的にも重要な人物だったのです。

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妹尾 満隆

妹尾 満隆

合同会社SENOO商事の代表をしております妹尾満隆と申します。

ウェブという情報を発信してる人が見えてない中で、いろんな間違った情報がネット上にあるのを度々見かけます。

特にアンティークにおいては

・間違った情報
・信ぴょう性のない情報
・そもそも情報がない

などたくさんの課題がありました。

そこで私は、これまでのお客様との取引の実績、知識、経験、情報を元に正しい情報をウェブを通して発信していくことを会社の方針と掲げました。

ただ物を売る会社ではなく、これまでブラックボックスとされてきてた商品の真贋の見分け方を発信するというのが大切なことではないかと思ったからです。

なぜならアンティーク品の場合は情報量の不足から、買い手側が圧倒的に不利な立場にあったからです。

このアンティークの世界をもっとクリーンで、信頼のおける分野に成長させていく事が私の使命だと思っております。

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