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Baccarat(バカラグラス)社とSaint Louis(サンルイグラス)社は何が違う!?

 2017/05/10 バカラ
この記事は約 10 分で読めます。 17,138 Views

動画でバカラとサンルイの関係を知りたい方はこちらから↓

サンルイのワイングラスのネットショプへの画像

Saint Louis(サン・ルイ)ってどんなブランドなの?

ヨーロッパではクリスタルの王者がBaccarat(バカラ)なら、クリスタルの女王はSaint Louis(サン・ルイ)と言われるぐらい最高級クリスタルグラスとして称される2ブランドですが、アンティークBaccaratの製品としてオークションサイトにSaint Louis(サン・ルイ)の作品を時々見かけます。

 

特に、アンティーク品に関しては、本当に技法やエッチングデザインがよく似ているんです。

 

クリスタルの品質、デザイン、フォルム・・・。

 

何故、このようなことが起きるのでしょうか。

 

これには、幾つかの理由があげられます。

 

・17世紀初期のBaccarat社とサン・ルイとの合併期間が10年程(1816年~1829年)あったこと。

 

 

・合弁会社として流通などで、提携を組んでいたこと。

 

※1831年~1857年の間が提携期間。

 

ですが、BaccaratとSaint Louisはやはり、各々商標登録され別々のブランドですから、買う者としてはBaccarat(バカラ)と思い購入したものが、違うブランドだったら、いくら高級品といえど、いい気分はしませんよね。

 

もちろん、その逆の場合も同じです。

 

そこで、今回はSaint Louisについてご紹介していきたいと思います。

 

Saint Louis(サンルイ)を知ることで、双方の違いが判断できると思いますので、参考にしてみてください。

 

Saint Louis(サン・ルイ)その古い歴史

フランスの高級ブランドHERMÈS(エルメス)ご存知の方は大勢いらっしゃるかと思います。

 

その、HERMÈS(エルメス)グループに、「Saint Louis(サン・ルイ)」が一員となっているのはご存知でしたか?

 

また、その歴史はBaccaratよりも古く、ヨーロッパ最古のクリスタルガラスメーカーであり、透明クリスタルガラスを世に生み出したのも実は「Saint Louis(サン・ルイ)」なのです。

6色のサンルイのグラス

 

BaccaratとSaint Louisの歴史

 

Saint Louis(サンルイ)は、1586年フランスのロレーヌ地方のミュンツタールにオルバックのガラス工場が移転したことから始まります。

このガラス工場が1767年に王立ガラス工場となり、「Saint Louis(サン・ルイ)」という社名をルイ15世が聖王ルイ9世にちなんで名づけられたのが始まりです。

この時点で180年以上の歴史があるガラス工場だったのです。そして、1780年に世界で初めて品質の高い透明クリスタルガラスの製造に成功しました。

 

※この同時期各国でクリスタルガラスは発明されていますが、透明度の高い品質のよいクリスタルガラスはサンルイが初と言われています。

 

その後も、透明クリスタルガラスの先駆者となり、王室御用達のガラス工房として、開発発展を繰り広げ、芸術性と技術力の高さはパリ万博でグランプリを受賞するなど様々な功績をあげています。

 

そして、1829年に

「Saint Louis(サン・ルイ)・ガラスクリスタル」

 

という名称で株式会社になり独立をします。

 

1870年代の第一次世界大戦でロレーヌ地方はドイツの支配下になり、Saint Louis(サン・ルイ)はガラス製造を中止します。

 

戦後、ロレーヌ地方がフランス領となり再度、クリスタルガラス製造を開始しました。

この時期は、アールデコ様式の全盛期となり、Saint Louis(サン・ルイ)の作品もその影響をうけた品となっています。

世界中の王侯貴族からのオーダーもあり、格式高いクリスタルガラスとして成長していきました。

 

現在は、フランスの高級ブランド

 

HERMÈS(エルメス)のグループに属し、格式高いクリスタルブランドメーカーとして最高級クリスタルをこの世に生み出し人々を魅了してします。

 

サンルイのグラス

 

一方、Baccarat(バカラ)は、1764年、ロレーヌ地方のバカラ村にルイ15世に許可を得てBaccaratガラス工場設立します。

 

そして、1816年に初めてクリスタルガラスを製造します。

※詳しいお話は、こちらのサイト内の

Baccarat(バカラ)グラスの歴史

に掲載中です。

 

ここで、サンルイが王立工場になる前にバカラ工場が設立した事はおわかりかと思いますが、1816年にBaccaratがクリスタルグラスを初めて製造したことに注目してみましょう。

 

実は、1806年にBaccaratは一度倒産しているんです。

 

そして、バカラ村で工房(炉)だけは保守しながら、1816年にサンルイと合併したのです。

 

※この少し前の時期、ヴァル・サン・ランベールもサンルイと合併し3社がサンルイに集結していたことになります。

 

Baccaratはこの合併ににより、サンルイやヴァル・サン・ランベールの2社から重要なクリスタルガラスの製造法、技術を得て、1816年その年の11月に、クリスタルの工房を開きBaccaratクリスタルを初製造したのです。

 

「サンルイ&バカラ年表」

 

1586年 サンルイの前身となるガラス工場創立

1764年 バカラ ガラス工場設立

1767年 ルイ15世により王立「サンルイ」工場となる

1780年 サンルイのクリスタルガラス初製造

1782年 王立科学アカデミーにサンルイが認定

1802年 サンルイとヴァル・サン・ランベール合併

1806年 バカラ倒産

1816年 バカラとサンルイが合併

1816年 11月バカラクリスタル初製造

1826年 ヴァル・サン・ランベール再度独立

1829年 サンルイ単独株式会社へ

1831年 サンルイとバカラ流通提携

1857年 サンルイとバカラ(流通提携)合弁会社終了

1860年 10月バカラ商標登録

 

年表をご覧になったいかがでしょうか。

 

Saint Louis(サンルイ)とBaccarat(バカラ)は深い関わりがあることが確認できたかと思います。

 

この合併期間と流通の提携期間に類似品が製造されたのです。

 

ですから、1816年~1860年より前の作品はサンルイとバカラの識別はかなり難しいと思われます。

 

しかし、サンルイがバカラにクリスタルガラスの技術や製法を伝授したのには驚きですね。

 

そして、現在のBaccarat長い歴史を引き継いでいると思うとSaint Louis(サン・ルイ)は、とても格式高いクリスタルメーカーだという事がわかります。

サンルイのワイングラスのネットショプへの画像

 

Saint Louis(サン・ルイ)のクリスタル

「St. Louis (サンルイ)TOMMY(トミー)」「St. Louis (サンルイ)TOMMY(トミー)」

「St. Louis (サンルイ)TOMMY(トミー)」

 

上記写真は、1928年に発表された作品で、サンルイを代表するモデルの一つで現在も製造されているロングセラーモデルです。

 

見てお分かりの通り、非常に手間のかかるカットが施され、このカットの美しさには魅了されます。

 

サンルイの透明クリスタルは、1780年、サンルイの王立ガラス工場の工場長のフランソワ・ド・ボーフォールとその職人たちにより開発されました。

 

それまでに、他国でクリスタルの開発はされていましたが、より透明度が高く、強度のある高品質で美しいクリスタルはサンルイが完成させたと言われています。

 

その技術の高さは王立科学アカデミーに正式認定を受けています。

 

ですから、サンルイのクリスタルガラスは最高級品となっています。

 

先にお伝えしたように、Baccaratにクリスタルガラスの製造法のノウハウを教えたのもサンルイですので、品質はBaccarat以上と言っても大げさではありません。

 

アンティークサンルイを製造したガラス職人は当時、貴族と同じような特権を与えられて、その高度な技術を守るため子孫に伝授していました。

 

また、遠方へ出かけるには許可が必要だったり、退職は2年前から申請が必要とされていました。

 

それほど、サンルイのクリスタル職人の技術力は高くその技術が国で守られていたことが窺がえ知ることができます。

 

また、現在もサンルイにはM,O,F(フランス最優秀職人)が多く所属しています。

 

St. Louis (サンルイ)とBaccarat(バカラ)の混同と見分け方

 

アンティークのサンルイとバカラは、定番モデルでしたらカタログで確認することができます。

 

しかし、商標登録がされていても、10年あまりの合併期間、さらに、流通面での提携期間がありましたので、同じデザインが掲載されたカタログがあります。

 

そのため、プロの方でもこの年代の方々が口を揃えて見分けが難しいとされています。

 

また、Baccaratがマークを刻印エッチングにしたのが、1930年以降となっていて、それまではシールとなっており、刻印などがないグラスは素人では判断できません。

 

オークションサイトなどで、アンティークSt. Louis (サンルイ)とBaccarat(バカラ)が混同しているのは、その時代背景が

大きく影響しているのです。

 

ですから、1816年アンティークBaccarat(バカラ)というのは、サンルイと合併していた時代にバカラ村のガラス工場で制作されていたことになりますね。

 

また、アシットエッチング技法は、サンルイよりもバカラが4年ほど先に開発デザインがされています。

 

たとえば、

Saint Louis Cluny(サンルイ・クリュニー)

Saint Louis Cluny(サンルイ・クリュニー)

直径:6.3cm

高さ:10cm

容量:100ml

 

Saint Louis(サンルイ)の有名なモデル・クリュニーのワイングラスですが、このモデルでは、無地のデザインやカップ

だけ色ガラスのもの柄(デザイン)も色々あり、特注品の装飾デザインが施された作品が存在し、多くの王侯貴族の食卓を豪華で華やかにしたグラスですが、グラスにはサンルイのマークがありません。

 

このような場合は、1935年以前に製造された品としかお伝えできません。

 

また、このモデルは1889年に発表されたモデルですので、1889年から1935年に作られたことになります。

Saint Louis(サンルイ)を知ることで、Baccaratと関係や時代背景がおわかりになったでしょうか。

日本ではバカラだけが持てはやされていますが、『本当に素晴らしいガラスブランド』という目線で見れば、サンルイも外すことが出来ないブランドなのです。

サンルイのワイングラスのネットショプへの画像

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妹尾 満隆

妹尾 満隆

合同会社SENOO商事の代表をしております妹尾満隆と申します。

ウェブという情報を発信してる人が見えてない中で、いろんな間違った情報がネット上にあるのを度々見かけます。

特にアンティークにおいては

・間違った情報
・信ぴょう性のない情報
・そもそも情報がない

などたくさんの課題がありました。

そこで私は、これまでのお客様との取引の実績、知識、経験、情報を元に正しい情報をウェブを通して発信していくことを会社の方針と掲げました。

ただ物を売る会社ではなく、これまでブラックボックスとされてきてた商品の真贋の見分け方を発信するというのが大切なことではないかと思ったからです。

なぜならアンティーク品の場合は情報量の不足から、買い手側が圧倒的に不利な立場にあったからです。

このアンティークの世界をもっとクリーンで、信頼のおける分野に成長させていく事が私の使命だと思っております。

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