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イギリスのスターリングシルバーポット(silver pot)の歴史と魅力 コーヒーと紅茶

 2017/03/27 アンティークシルバー
この記事は約 12 分で読めます。 3,206 Views

アフタヌーンティーを楽しむにあたって、素敵なティーセットは欠かせないものです。

食事の後に紅茶を淹れてゆったりと時の流れを感じたり、ご家族やお友達を家に招いて紅茶を飲みながらお喋りに花を咲かせたりする時にも、テーブルの上に素敵なティーセットがあると、更に楽しい時を過ごすことができそうですよね(^^♪

 

ティーセットといえばボーンチャイナも人気が高いのですが、今回はシルバーポットの魅力に焦点を当てたいと思います☆

 

シルバーポットの歴史

英国王ジョージ一世の時代から人々に親しまれてきたシルバーポット。

その一部は今でも残されていて、アンティーク製品として人気を保持しています。

 

16世紀中頃に中国からヨーロッパにお茶が伝来した後、中国の陶磁器に影響を受けてヨーロッパではシルバーポットが作られるようになりました。

当初の形状は、球体に近いボディに、まっすぐ細い注ぎ口が付いたものが多かったようです。18世紀にはイギリスやフランスをはじめとした銀細工師たちがバロック式、ロココ式のより洗練された形状のポットを作り出しました。それでもまだ球体に近いものが多かったようですが、洋ナシの形のポットもブームになりました。

18世紀になると徐々にシルバーポットの生産にも機械が取り入れられ、繊細なところは手作業で、大まかな部分は機械を用いて作られるようになっていきました。

 

シルバーティーポットが大きく広まったのはヴィクトリア女王が君臨していた時代です。産業革命の影響で、シルバー製品は中流階級の人々にとっても手が届くものとなりました。

18世紀後期になると、シンプルな形状が好まれるようになり、表面に精巧なデザインが施されることは減ってきました。

シルバーポット

 

このように、お茶の歴史とともに発展してきたシルバーポットですが、残念ながら、昔と比べるとティーセットを持っているご家庭は少なくなっています。

当時のイギリスではシルバーティーセットはインテリアの一部のようなもので、中流階級以上のほとんどの家庭が所有していました。

 

ただ、クラシックなものが好きで、更に紅茶も好きな方なら、一度その魅力にはまるとやめられないのがアンティークシルバーポットです。

シルバーポットの魅力は、昔も今も変わっていないのです!(^^)!

 

スターリングシルバーとは?

洗練されたデザインの美しいシルバーポットは、キッチンの棚やダイニングルームに飾っておくだけでも、日々の暮らしを華やかにしてくれます。

 

シルバーポットを見ていると、よく目にするのが「スターリングシルバー」という言葉ですが、その意味をご存知でしょうか?

スターリングシルバーとは、92.5%が純銀、それに7.5%の別の物質が混ぜられている銀を表します。別の物質には銅が使われることが多いようです。

 

「なんだ!純銀じゃないのか。」ってがっかりされた方もいるのではないでしょうか?

ところが、実は一般的に純銀とされる99.9%まで純度が上げられた銀は、柔らかすぎて加工に適さないのです。そのため、実用的な食器などを形作るためには、銅などの別の物質を混ぜて強度を増す必要があるのです。

したがって、スターリングシルバーは精巧な形を実現でき、同時にシルバーの美しさも損なわない最高の状態であるというわけなのです(^_-)-☆

シルバーポット

 

スターリングシルバーと表記してあっても、実はそうでないこともあるのでご購入の際は気を付けてください。スターリングシルバーであれば、本体に『sterling』あるいは『92.5』、『925』、『92』の文字が印されているはずです。

チェックしてみてくださいね(^_-)-☆

 

スターリングシルバーのティーセットを揃えられたら理想的ですが、手が届かない‼という場合には銀メッキのティーセットもお勧めです。見た目はあまり変わらず、丁寧に扱っていれば銀メッキが剥げてしまうのも防ぐことができるでしょう。

 

ところで、ティーセットには何が含まれるのでしょうか?

まずメインがシルバーポット、それからポットよりは小さめのミルクピッチャー、砂糖入れ、砂糖をカップに移すときに使う小さなトング…。

セットを載せるトレイやティースプーンを含む場合もあります。

 

シルバーポットのお手入れ

シルバーティーセットを集めたい‼と思っていても、「お手入れが難しそうだから…」と諦めている方も多いのではなでしょうか?

 

確かにステンレス製品や陶磁器と比べると扱いには注意が必要ですが、実は意外とシルバーポットの手入れって簡単なんです!(^^)!

 

日常的に使っていても、毎回綺麗に洗い、柔らかい布で拭き、乾燥させてから棚に収納していれば問題ありません。

長く使用しているとどうしても表面が黒ずんだり曇ったりしてしまいますが、それも普段からのお手入れで防ぐことができます。もし曇ってしまった場合には、なるべく早いうちに専用のクリームや重曹を使って磨けば綺麗な状態に戻すことができます(^_-)-☆

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シルバーティーセットは、日々の生活を優雅なものに変えてくれる魔法のようなアイテムです。

少しだけお手入れに気を遣えば、お値段相応の働きをしてくれることは間違いありません。

子、孫と次の世代へと受け継いでいく家宝として持っておいても、後に家系の歴史を語ってくれる重要なアイテムになりそうです(^^)/

 

シルバーポットの長所

さて、人々を魅了し続けるシルバーポットですが、芸術的な価値に加えて、実用的な価値もあるんですよ!

 

まず、金属である銀は熱伝導率が高いという特性から、中の飲み物の対流が起こりやすくなります。そのため、茶葉の風味を十分に引き出すことができます。茶葉のありのままの風味が強く出てくるため、後発酵のお茶はあまり適さないとも言われます。

また、熱伝導率が高いという同じ理由から熱しやすく冷めやすいという特徴も持っているので、温かい飲み物を楽しみたいという場合には、注意が必要になります。

シルバーポットの中には、加熱装置がセットになっていてテーブルの上で温かさをキープできるようなものもあるので、そういうものを活用するのもいいかもしれませんね!(^^)!

 

また、シルバーポットをお勧めする二つ目の理由として、銀は丈夫で長持ちするということがあります。陶磁器とは違って、多少ぶつけたり落としたりしても、シルバーは割れたり欠けたりしないのです。

もし大事なポットを落としてしまったとしても粉々に割れてしまってもう使えない…などといった悲しい事態になることはありません。多少へこんでしまうことはあるかとは思いますが、金属製のポットは、他の素材で作られたものよりも一般的に耐久性に優れています。

 

 

リラックスしたティータイムに使いたいイギリス製のシルバーポット

 

ここからはコーヒータイムにアクセントを加えてくれる

アンティークコーヒーポットをご紹介していきますね☝💕

 

ソリッドシルバー アンティークコーヒポット

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細銀工師ReillyとStorerによって作られた、

ビクトリア期ソリッドシルバーコーヒーポットのご紹介です。

 

 

存在感のあるハンドルも特徴的ですが、

なんといってもこのコーヒーポットのポイントは、

蓋についている綺麗な花の装飾ではないでしょうか。

 

 

150年以上絵に作られたとは思えないほどの繊細さを感じることが出来ます✨

 

 

製造年:1848年

製造地域:ロンドン

重さ:694グラム

 

 

 

 

 

ビクトリア アンティークスターリングシルバー

コーヒーポット

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非常にユニークなデザインのアンティークポットの紹介です✨

 

 

4つの足の上に特徴的な形のポット、

さらには、ヒンジ付きの蓋にも複雑な装飾が施されています。

 

 

こんなに複雑な形状を採用しているのに、一つの作品として美しく仕上がっています。

 

 

さらにこの最高の保存状態、もう言うことなしですね!

 

 

豪華すぎて何から説明して良いか分かりませんが、

私はC型の印象的なハンドルが大好きです。

 

 

複雑なデザインに見えますが、

よく見ると装飾は一枚の葉っぱのみなんですね。

このセンス、羨ましいです。

 

 

この注ぎ口もとても印象的ですね。

細部にまでデザインとセンスを吹き込む当時の職人さんに脱帽です。

 

 

このポットは、ロンドンの2人の細銀工師EdwardとJohn Barnardの合作なのです。

 

 

当時の最高の2人のセンスが合わさり、このような作品が出来、

現在に至るまでこんなに良い状態で保存されているんです。

 

 

なんだかジーンときませんか(*^^*)?✨

 

 

製造年:1851年

製造地域:ロンドン

 

 

サイズ:

幅 24.1センチ

ポット直径 15.4センチ

高さ 25センチ

重さ 907グラム

 

 

 

 

 

ビクトリア アンティークスターリングポット

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次は、シンプルなコーヒーポットのご紹介です。

 

 

このコーヒーポットの特徴は彫刻です。

豪華な装飾をまとった作品も良いですが、このようなシンプルな彫刻も良いですよね!

 

 

特に普段使いにはもってこいで、

なんでもない日常に少し華を添えてくれるような存在になりそうです✨

 

 

繊細な技術が必要とされる、ヒンジ付きの蓋を採用していることからも、

当時の職人さんがこの作品に込めた技術を伺えます。

 

 

さらに、蓋の取っ手とC型のハンドルはアイボリーで出来ているんです。

もちろんアイボリーのデザインにも素晴らしい技術とセンスが吹き込まれています✨

 

 

このビクトリア朝のコーヒーポットは、

有名なロンドン銀細工師 Robert Garrard IIによって作られました。

 

 

ポットの底には R & S Garrard & Co と

当時のGarrards, Panton Street, Londonと彫られています。

 

 

製造年:1859年

製造地域:ロンドン

 

 

サイズ:

幅 21.7センチ

ベース直径 11.7センチ

高さ 16.9センチ

重さ:715グラム

 

 

 

 

 

ジョージア シルバーコーヒーポット

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この美しいコーヒーポットは、複雑かつ繊細なデザインで装飾されています。

 

 

さらにこのシックな色合いが相まって、

アンティークならではの味と深みを存分に楽しむことが出来る一品です。

 

 

綺麗で存在感のある、こんなポットは、

コレクションのレベルを1段階上げてくれそうですね。

 

 

製造年:1769年

製造地域:ロンドン

 

 

 

 

 

クイーンアン シルバーコーヒーポット

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 最後は、とってもレアなイングリッシュアンティークポットのご紹介。

 

 

1701年に作られたとても貴重な一品です✨

 

 

シンプルな、シングルハンドルが付いたコーヒーポットは、

300年以上前に作られたとは思えないほど綺麗に保存されています。

 

 

神は細部に宿るといいますが、

この作品の私のお気に入りは注ぎ口に付いているヒンジ付きの蓋です。

 

 

こういった細かなデザインとアイディアに惹かれてしまいます。

 

 

製造年:1701年

製造地域:ロンドン

重さ:777グラム

 

 

サイズ:

高さ 26センチ

トップ直径 7センチ

ベース直径 11.5センチ

容量 1100ミリリットル

 

 

 

 

 

 

以上、アンティークシルバーポットのご紹介をさせていただきました(^^)✨

いかがでしたでしょうか❔

 

 

どちらも個性的なデザインで、一目惚れしちゃいそうなものばかりでしたねっ💕

 

 

 

まとめ

どうでしょう(^^♪

シルバーポットに興味を持っていただけたでしょうか?

もし、これからシルバーポットを使ってみたいと考えていれば、いくつか気を付けていただきたいことがあります。

 

まず、できれば脚付きのポットを選んでいただくことをおすすめします。先に述べたようにシルバーは熱伝導率が高いため、ボディが大変熱くなってしまうことがあります。脚付きだと、テーブルの上やトレイの上に直接置いたとしても問題がないので、別に敷物を用意する必要がありません。

また、持ち手の素材にも気を付けてください。シルバーの持ち手だと、触れた時にやけどをしてしまう恐れがあります。熱を通しにくい素材で包んで使うか、もしくは、持ち手部分に金属以外の原料が使われているポットを選んだ方が、ケガを防ぐことができます。

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見ているだけで心を癒し、豊かな気持ちにしてくれるシルバーポット。

お気に入りのティーセットを使うと、不思議なほどに気分が変わります。

お宅に訪問したお客様にも、最高のおもてなしを提供することもできます。

理想のティータイムを演出してくれるような素敵なシルバーポットに皆様が出会えますように!(^^)!

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妹尾 満隆

妹尾 満隆

合同会社SENOO商事の代表をしております妹尾満隆と申します。

ウェブという情報を発信してる人が見えてない中で、いろんな間違った情報がネット上にあるのを度々見かけます。

特にアンティークにおいては

・間違った情報
・信ぴょう性のない情報
・そもそも情報がない

などたくさんの課題がありました。

そこで私は、これまでのお客様との取引の実績、知識、経験、情報を元に正しい情報をウェブを通して発信していくことを会社の方針と掲げました。

ただ物を売る会社ではなく、これまでブラックボックスとされてきてた商品の真贋の見分け方を発信するというのが大切なことではないかと思ったからです。

なぜならアンティーク品の場合は情報量の不足から、買い手側が圧倒的に不利な立場にあったからです。

このアンティークの世界をもっとクリーンで、信頼のおける分野に成長させていく事が私の使命だと思っております。

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