伝統と現代感覚の融合 リモージュ


s-l1600 (14)

リモージュ磁器、もしくはリモージュ焼は、

パリから列車で3時間ほど離れたリムーザン地方の首都リモージュ近辺で生産される磁器をいいます。

磁器の原料であるカオリンと呼ばれる白磁土がドイツで発見され、マイセン窯が開業するのが1709年。

これに遅れること半世紀以上、1768年にようやくフランスでも、

サンティリエ=ラ=ペルシュにて発見された白い粘土がカオリンであると分かり、

リムーザン地方長官アンヌ=ロベール=ジャック・チュルゴの後押しもあって、

1771年、リモージュ磁器製作所が開設されました。

 

工場経営者ジョゼフ・マシエと科学者ニコラ・フルネラは試行錯誤を繰り返しながら、

硬磁器を作り上げました。

資本提供はピエールとガブリエルのグルレ兄弟によって行われました。

リモージュの製陶所は1736年に開設していましたが、磁器の製造にはカオリン鉱床の発見を待たねばならなかったのです。

 

磁器の生産は1774年、アルトワ伯爵の保護下におかれ「アルトワ伯爵製陶所」として発展していきます。

しかし、セーヴル王立窯が製磁技術を独占した為、マシエは独学で製法を編み出しましたが、

その為研究費がかさみ、高い税金の為もあって経営は行き詰っていきました。

 

この時期、陶土の販売から得る利益の方が、工房の利益よりも遥かに上回っていました。

また、磁器製造よりもセーヴル窯への無彩色磁器の提供元としての役割が強かったのです。

 

当初は花やブーケをあしらったシンプルなデザインが特徴でした。

狼の歯をかたどった金の編み目模様もよく使われたモチーフです。

 

1784年にセーヴル王立製陶所がリモージュの製陶所を買い取ると、

セーヴルの兄弟窯として、セーヴルを凌ぐ高品質の磁器を生み出していくことになります。

デザインやフォルムは、より洗練されたものになっていきました。

 

可憐なヤグルマギクと真珠のデザインはこのデザインを愛した王妃の名を取り

「マリー・アントワネット」と呼ばれていて、ベルサイユ宮殿に納められたという記録が残っています。

 

「ルイ十五世」は国王の為に作られたディナーセット。

深いピンクと金彩が高貴な雰囲気を醸し出します。

ルイ15世の愛妾に贈られた「デュ・バリー夫人」は、青いリボンとガーランドが絡み合う優雅なデザイン。

他に「サン・クルー」「サン・ジェルマン」「ペルサーン」などのシリーズがあります。

 

しかし1789に勃発したフランス革命により、政府から売却された王立製陶所に代わり、

リモージュでは民間の製陶所が次々に作られることになります。

 

1840年代頃から、リモージュ市内には30以上もの製陶所が林立しはじめ、

最盛期にはその数は100を超えました。

特に名が知られているのはベニョル製陶所、ピエール・タロー製陶所、アリュオー製陶所、

プーヤ製陶所、リュオー製陶所などです。

 

1842年にニューヨークから訪れたダビド・アビランドは、

リモージュの磁器をアメリカに紹介し、販路を広げます。

 

彼は1862年にアビランド製陶所を設立し、

当時ヨーロッパを席巻していたジャポニズムをリモージュに取り入れました。

 

息子の代になり、兄シャルル=エドゥワールに反発した弟のテオドールが独立して

テオドール・アビランド製陶所を設立することになります。

閉鎖された製陶所も多い中、アビランド製陶所は現在でも健在であり、

リモージュの代表的な窯として勢力を保っています。

 

1851年のロンドン万国博覧会への出品によって、

リモージュの磁器は世界にその名を知られることになります。

 

白い生地に絵付けをした後、更に焼き付けるという手法で作られた、

透き通るような白さは「リモージュの白」と言われ、高い評価を得ました。

リモージュでは、白の質の追求と並行して本焼きの技術を追求し、

有名な濃紺からローズ、ブラウン、イエローなど様々な色の素地を産み出すことに成功しました。

黄色がかった素地の製品は蒐集家の間で高い人気を誇っています。

 

19世紀後半、リモージュ磁器は黄金期を迎えます。

この時期、パリの職人たちがリモージュにやってきて、絵付けに影響を与え、

製陶も芸術分野へと広がりレリーフや彫刻、置時計、花瓶、シャンデリアなどが作られました。

 

また、リモージュでは古くからエマイユやステンドグラスも作られており、

これらの技法を生かしたリモージュ・ボックスも作られ、愛されてきました。

 

ロココ時代に貴族の間で流行したボックスはキャンディーや嗅ぎタバコ、

付けぼくろなどを入れる容器として用いられ、貴族がポケットに入れて持ち歩くのにちょうどいい大きさで、

当初は金銀細工に宝石をちりばめた豪華な作りであったようですが、磁器の製法が広まるにつれ、

様々な凝った形の愛らしいボックスが作られるようになりました。

 

マリー・アントワネットは輿入れの際、52個の豪華なリモージュボックスを持参し、

コレクション用の棚まで作らせたといいます。

 

現在でも新しいデザインのボックスが昔ながらの製法で作られており、

一つ一つのデザインが少数生産である為、コレクターの人気アイテムとして世界中で愛されています。


無料会員登録

初めて会員になられた方はショップで使える5000ポイントプレゼント



Comments are closed here.